2026/5/27  No. 071

ウッディエンス メールマガジン

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‥・* 発行 日本木材学会広報委員会


■ 本号の目次 ■

本号では、第53回木材の化学加工研究会シンポジウム、第3回日本木材学会国際ミニシンポジウムの開催報告をご紹介します。ぜひご覧ください。

日本木材学会広報委員会委員長 石川 敦子


◆第53回木材の化学加工研究会シンポジウム「Wood ~ benefit from nature」開催報告

└(奈良森技セ)大久保朔実、森下真衣

 木材の化学加工研究会では2025年10月30日(木)と31日(金)に、第53回木材の化学加工研究会シンポジウムを開催しました。1日目は地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 林産試験場(北海道旭川市)での講演会と、北海道立北の森づくり専門学院および林産試験場内設置のCLTパビリオンでの見学会、2日目はTime & Style Factory(北海道上川群東川町)および旭川デザインセンター(北海道旭川市)での見学会が行われました。シンポジウムの参加者数は、1日目が現地20名とオンライン5名(オンライン参加は講演会のみ)、2日目が13名(うち講師1名)でした。

 1日目の講演会では、当研究会の代表幹事である九州大学の巽大輔氏による開会の挨拶の後、4名の講師の方々から木材利用に関するご講演を賜りました(写真1)。北海道大学の鈴木栞氏からは「イオン液体を用いたリグノセルロースの均一系化学修飾とその応用」というタイトルで、リグノセルロースに対する優れた溶解性をもつイオン液体である1-エチル-3-メチルイミダゾリウム酢酸塩(EmimOAc)を用いた均一系化学修飾法と後分画法による各成分の詳細分析についてご紹介いただきました。北海道立総合研究機構 林産試験場の檜山亮氏からは「北海道における蒸煮木質飼料の事業化」というタイトルで、黒毛和種肥育牛の飼料として、発酵バガスをシラカンバ蒸煮飼料に置換した際の給餌実証試験の結果と事業性の試算についてご紹介いただきました。北海道立総合研究機構 林産試験場の長谷川祐氏からは「酒類貯蔵樽の樹種バリエーション拡大に向けた取り組み」というタイトルで、焼成処理や蒸煮処理により、テルペン類を低減させて木材由来の香りや成分を増やした針葉樹材を樽材として利用できる可能性についてご紹介いただきました。TIME & STYLE・(株)プレステージジャパンの吉田安志氏からは「洗う・染める・潤す –木材の楽しみ方- 」というタイトルで、家具・インテリアブランド「TIME & STYLE」で独自に開発された3つの方法論による木材の仕上げ技法についてご紹介いただきました。

 1日目の見学会では、北海道立北の森づくり専門学校にて、木材がふんだんに使用された校舎や授業で使用するシミュレーターを見学し、CLT工法で建設された実験棟であるCLTパビリオン(写真2)では、実施中の環境試験の様子を見学させていただきました。

 2日目の見学会では、家具・インテリアブランド「TIME & STYLE」の工場内にて、製材機類や木材の仕上げ技法に使用されている3種の液体と制作された製品を見学し、旭川クラフトセンターでは、旭川家具やクラフトの展示を見学させていただきました。

 今回のシンポジウムでは、そのテーマどおり、自然界からの贈り物である「木」を改めて考える機会となりました。当研究会では今後も直接顔を合わせる現地開催にこだわりつつ、木質資源の有効利用に向けた最新の知見や技術を得られるシンポジウムを企画していきます。

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写真1 講演会の様子
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写真2 CLTパビリオンの外観


◆2025年度「第3回日本木材学会国際ミニシンポジウム」開催報告

└(森林総研)児嶋美穂

 2026年3月15日に2025年度「The 3rd International Mini symposium on Wood Science(第3回日本木材学会国際ミニシンポジウム)」を広島にて開催いたしました。日本木材学会 組織と材質研究会との共催で、国際木材解剖学者連合と国立研究開発法人 国際農林水産業研究センターの後援の元で実施されました。開催形式はオンサイトとオンラインを併用したハイブリッド形式とし、オンサイトでは76名、オンラインでは26名の参加がありました。インドネシア、ブラジル、マレーシアなど、海外からの参加者も見られ、国際的な交流の場となりました。本シンポジウムでは、近年大きく変化している東南アジア地域の木材資源と木材研究の現状が紹介され、今後の木材科学の発展および国際連携の可能性について活発な議論が行われました。

 はじめに、組織と材質研究会代表幹事である京都大学の粟野達也先生による挨拶のあと、日本木材学会国際委員会委員である国際農林水産業研究センターの安部久博士による趣旨説明が行われました。その後、インドネシアのGadjah Mada UniversityのWidyanto Dwi Nugroho 先生より、インドネシアにおける近年の木材研究と産業の状況についてご講演があり、続いてベトナムのVietnamese Academy of Forest SciencesのNguyen Tu Kim博士より木材取引の管理とマネージメント:ベトナムでの事例についてご紹介いただきました。最後に、国際農林水産業研究センターの河合清定博士より東南アジア林業樹種における環境応答と材質特性の多様性に関して研究紹介していただきました。閉会にあたっては、日本木材学会国際委員会委員長である名古屋大学の山崎真理子先生より挨拶があり、本シンポジウムが熱帯アジアの木材資源をめぐる研究成果と多様な視点を共有する貴重な機会であったことが述べられ、盛会のうちに締めくくられました。

**********研究発表会のプログラム**********

Opening Remarks

Dr. Tatsuya Awano

Purpose and Overview

Dr. Hisashi Abe

Speakers and Titles

・Dr. Widyanto Dwi Nugroho (Gadjah Mada University)

Current status of wood research and industry in Indonesia

・Dr. Nguyen Tu Kim (Vietnamese Academy of Forest Sciences)

Timber trade and tracking, the cases in Vietnam

・Dr. Kiyosada Kawai (Japan International Research Center for Agricultural Sciences)

Diversity in environmental responses and wood properties in timber species of Southeast Asia

Closing Remarks

Dr. Mariko Yamasaki

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写真:国際ミニシンポジウムの様子


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