ごあいさつ

日本木材学会会長  恒次 祐子

 この度、一般社団法人日本木材学会会長を仰せつかることになりました。大変光栄に存じるとともに、第36代だということを伺い、責任の重さをひしひしと感じております。この場をお借りして選出に携わられた方々にお礼を申し上げるとともに、会員の皆様のご支援をお願い申し上げます。
 本学会は2025年に創立70周年を迎え、本年6月14日には70周年記念式典、記念講演会、ならびに祝賀会が盛大に開催されました。記念式典では本会に関係の深い産官学それぞれのお立場の来賓から祝辞を賜り、記念講演では学会を代表する3人の先生方から木材学の進むべき方向をお示しいただきました。詳しくは「日本木材学会創立七十周年記念式典 開催報告」(https://www.jwrs.org/wp-content/uploads/70th-Anniversary-Celebration_JWS.pdf)もご覧ください。
 講演会に続き、岩田忠久前会長により「創立70周年記念・ 脱炭素社会に向けた環境宣言」が発表されました。本会はこれまでに下記のような宣言を10年ごとに発表し、学会内外に向けて木材学会の進む方向性と社会貢献のあり方を示すとともに、学術団体の立場から社会の目指すべきビジョンについても情報を発信してきました。
 40周年:「化石資源から木質資源へ」 記念大会宣言
 50周年:「環境共生社会をきずく木質の科学と技術」 記念大会宣言
 60周年:木材学の社会実装をめざす創立60周年宣言 
 70周年:脱炭素社会に向けた環境宣言 

 「化石資源から木質資源へ」との宣言が出されたのは今から30年前の1995年のことであり、手前味噌ながら本学会の先見性を強く感じる次第です。70周年環境宣言では学会として「持続可能で脱炭素な社会の実現とバイオエコノミーの推進に貢献する」ことを宣言し、具体的に木材や木材利用に関する研究がどのような観点からこれに資するかを整理しています。まずはこの宣言を指針として今年度から80周年に向けた第一歩を踏み出していくこととなりますので、ぜひ会員の皆様、そして学会外から木材学会に期待を寄せてくださっている皆様にはお目通しをいただければ幸いです。
 学会は会員に対しては研究交流、研究発展の場を提供し、学会外に対しては一つの集団として情報発信や社会貢献を行う役割を担っています。個々の研究者だけではなし得ない学術的な進歩、発展を可能にし、社会的な貢献を実現させるのが学会の重要な機能の一つだと考えます。それには学会内外の皆様のご協力が不可欠です。引き続き皆様のご支援、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。