ごあいさつ

日本木材学会会長  船田 良

 木材学会は1955年に創立され、2010年に一般社団法人化されました。60年以上の歴史と伝統ある木材学会の会長に就任し、身が引き締まる思いです。
 木材学会の設立目的は、「木材をはじめとする林産物に関する学術および科学技術の振興を図り、社会の持続可能な発展に寄与すること」であり、木材やきのこなどの林産物に関する基礎および応用研究の推進と研究成果の社会への普及を行っています。また、地球環境問題の解決、資源・エネルギーの持続的な供給、木材産業の活性化による地域の振興、木材の重要性や木材学の魅力に関する啓蒙活動、など社会貢献も目標としています。再生可能な資源・エネルギーである木材の有効利用は、循環型社会を構築し、国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために重要です。さらに木材は、樹木が葉から吸収した大気中の二酸化炭素(CO2)を、光合成による有機物の合成とセルロース、ヘミセルロース、リグニンなどの細胞壁構成成分の合成により固定する場でもあります。したがって、木材のさらなる利用は、CO2濃度の上昇を軽減することに大きく貢献し、パリ協定など温室効果ガスの排出量削減目標を遵守し、地球温暖化の急激な進行や豪雨・干魃など異常気象の増大などを抑制する上で重要です。さらに、木材など生分解性バイオマスの高度利用は、現在大きな社会問題になっているマイクロプラスチック汚染対策にも有効です。一方、日本における木材の自給率は平成23年から8年連続で上昇しており、平成30年の木材自給率は36.6%となりました。今後、国産材の新たな用途拡大に関する研究が重要になるといえます。これら、木材の高度有効利用に関する課題を達成するためには、木材学会会員による研究を推進すると共に、国や地方の公的機関、木材関連企業、関連学会などとの連携が重要と考えています。
 学会の役割は、学会誌の発行、年次大会の開催、支部発表会や研究会の開催、会員の顕彰、出版事業、などを通して、専門的な成果を発信し、学問分野のさらなる発展に貢献することです。木材学会は、学会誌として木材学会誌とJournal of Wood Scienceを発行しています。Journal of Wood Science は、日本学術振興会科学研究費補助金「国際情報発信強化」による支援により、2019年1月からfull open access化され、国際的に高い評価を得ています。また木材学会誌は、木材学の情報発信の場として重要な位置を示しています。さらに、韓国木材工学会(KSWST)との密接な交流やアメリカ木材工学会(SWST)との国際学会共同開催への支援などを通じて、木材学会のさらなる国際化を図っています。一方、木材学の発展や後継者養成には、持続的な教育が不可欠です。今後は、木材学会が中心になって、木材学に関する教材の作成や複数の教育機関の連携による木材学の教育を行うなどの取り組みも必要だと思います。
 木材学会をさらに発展させ、会員へのサービスを充実させるために、全力を尽くす所存です。2020年3月には鳥取(鳥取大学)で、2021年3月には東京(東京農工大学)で年次大会を開催する予定で、準備を着実に進めています。大会の成功を目指して、会員の皆様のご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。