middle lamellaについて

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現行用語集では、細胞間層および複合細胞間層は次のとおり。

Saihôkansô. 細胞間層 さいほうかんそう Intercellular layer (Syn. Middle lamella (不賛)). —隣接する細胞間の層; 等方性でセルロースを欠く(IAWA修)。((中層(植)))。注: 細胞間層はしばしば一次壁との境が漸進的で不明確で(→ saihôkansô, Fukugô-.)、それを区別するには特別の技術を要することもある。

saihôkansô, Fukugô-. 複合細胞間層 ふくごうさいほうかんそう Compound middle lamella. —隣接する細胞の二次壁の間の複合層に対する木材解剖学上の便宜的な用語で、二つの一次壁と厚さが種々に異なる細胞間層とからなる。注: Middle lamellaという言葉は、しばしばこの複合構造に対して漠然と用いられてきた。

すなわち、現行用語集ではその記載から、「細胞間層」という用語は一次壁を含まない純粋な細胞間層を、「複合細胞間層」という用語は一次壁を含む通常光学顕微鏡で見たときに認識できる二つの細胞の間の二次壁と二次壁の間の層を指すこととしたい、と判断できる。さらに、その二つを明確にする意図をもって、前者をintercellular layer、後者をcompound middle lamellaとして、compoundをつけないmiddle lamellaの使用に否定的な記述をしていると判断できる。
よって、純粋な細胞間層をintercellular layerとし、複合細胞間層をcompound middle lamellaとした上で、compoundをつけないmiddle lamellaについてもなんらかの形で言及することが必要であると考えられる。

一方、compoundを一々つけない「middle lamella」という呼び方が便宜的に定着した、つまり、話し言葉で「ミドルラメラ」という用語を日本語の発表・質疑応答で使うことはしばしばあると考えることもできる。
しかしながら、現行用語集としては、「middle lamella」は認めるべきではない、といった方針の存在が想定できる。

以上を勘案して、新用語集案では、
・middle lamellaは見出し語としても英語としても採用しない。
・複合細胞間層のところでcompoundをつけない「middle lamella」の使用について言及する。
こととした。


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